怒られているときに、話をちゃんと聞けません。
聞く気がないわけではないんです。むしろ逆で、 真剣に聞こうとしているときほど、聞けなくなります。
怒られている最中に、頭の中で「じゃあ次はこうすればいいのか」と改善案を作り始めてしまう。 そして気がつくと、相手が何を言っていたのか分からなくなっている。 そこで「聞いてなかっただろう」と、もう一度怒られる。
これは小学生の頃からずっとで、当時も同じことで怒られていた記憶があります。 自分でもどうにもできなくて、長いあいだ「集中力がないだけ」だと思っていました。
最近になって、やっとこの現象を説明できる形にできたので、書いておきます。
第一層 ── CPU
思考そのものです。ここは言葉になっていません。感覚に近いものです。
特徴が2つあります。
- 常に動いていて、止められない。止めようと思って止まるものではありません
- すぐ忘れる。だから同じことを何度も繰り返し考えることになります
怒られている最中に改善案を作り始めるのも、この層です。 自分が「作ろう」と決めているわけではなくて、勝手に動き出します。
第二層 ── モニター/スピーカー
第一層の内容を言葉にして、外に出す層です。 考えを整理するのも、話すのも、ここを通ります。
そしてここが重要なのですが、
第二層のリソースは、ひとつしかありません。
同時にふたつのことは処理できません。片方を使えば、もう片方は止まります。
そう考える理由
自分でも半信半疑だったのですが、思い当たることがいくつかありました。
ひとつは本の読み方です。自分は本を読むとき、 頭の中で情景を作って、登場人物に声を当てて、いわば「演技」をしないと内容が入ってきません。 文字を目で追うだけでは理解できないんです。あれは第二層をフルに使っている状態だと思います。
もうひとつは早口言葉です。口で言えない早口言葉は、 心の中でも言えません。声に出していないのに、つっかえる。 ということは、心の中で言葉にする作業と、口で話す作業は、 同じところを使っているということになります。
それで、あの現象の正体
この2つを重ねると、答えが出ます。
怒られているとき、第一層は止まりません。勝手に改善案を作り続けます。 その改善案を言葉にしようとして、第二層のリソースがそちらに持っていかれる。
第二層はひとつしかないので、そうなると 相手の言葉を処理する余裕が残りません。 結果、話が耳を素通りしていきます。
だから「聞く気がない」のではないんです。 ちゃんと反省しようとして改善案を考え始めた結果、聞けなくなっている。 真剣に聞こうとするほど悪化するのは、そういう理屈だったと思います。
そしてそのせいで、また怒られる。原因と結果がつながっているので、 自然にしていると、このループからは抜けられません。
言葉にできると、扱えるようになる
この構造自体は、たぶん小学生の頃から自分の中にありました。 変わったのは、それを言葉にできるようになったことだけです。 言語化できたのは、この1年くらいの話です。
言葉にできると、打つ手が見えてきます。 第一層は止められないので、そこを何とかしようとしても無駄です。 でも第二層をどっちに使うかは、選べる可能性がある。
だから今は、怒られている最中に改善案が浮かんできたら、 それを言葉にするのを後回しにするようにしています。 浮かぶこと自体は止められないので、そこは諦める。 ただ、それを組み立てにいかない。まず聞くことに第二層を使い切る。
第一層はすぐ忘れるので、良い案が消えてしまうこともあります。 でも、話を聞き逃してまた怒られるコストに比べれば、そっちのほうが安いと思っています。
これは自分で勝手に考えた整理の仕方で、どこかで習ったものではありません。 正しさを保証できるものでもないです。
ただ、熱量がすぐ冷める問題も、 「第一層が新しいものに次々と飛びついている」と考えると説明がつきそうで、 自分の行動を説明する道具としては、けっこう使えそうだと思っています。